皆様、こんにちは。2nd SELECTION bespoke coutureの店長です。
ファッション・ビジネスを生業としている立場として、毎年定点観測しているフィレンツェのメンズファッションの祭典「PITTI IMMAGINE UOMO」。
この業界で居るならば、世の中のファッション傾向を全く「知らず、分からず、存ぜぬ」ではファッション・ビジネスの世界は生き残れません、この業界はそんなに甘くはないですね。

先日閉幕したばかりの「PITTI UOMO 110(2027年春夏コレクション)」の現地のムードを、私のフィルターを通してお届けいたします。
ここ数年のカジュアル化を経て、今シーズン目立ったのは鮮やかな「クラシックへの回帰」。しかしそれは、かつての重厚で堅苦しいものではありません。日本の容赦ない酷暑にも美しく寄り添う、これからの新しいドレススタイルをご提案します。
目次
1. 核心のキーワードは「エレガントなリラックス」
数年前まで見られた、ストリートスナップを意識した派手なピーコック(目立ちたがり屋)や奇抜な色柄は完全に影を潜めました。現在のPITTIを支配しているのは、「上質な素材を纏い、自然体でいること」です。

「お洒落を頑張って誇示している人」よりも、どこか隙がありながらも立ち姿が美しい、「自然に上品な人」が格好いいとされる時代へ完全にシフトしました。フィッターとしても、この「引き算の美学」には非常に共感を覚えます。
2. 「クラシック回帰」を軽やかに裏切る仕立て
会場で最も目立っていたのは、ネイビーブレザー、ダブルブレスト、プリーツパンツ、ニットポロといった、私たちにとっても馴染み深い「王道アイテム」の数々。しかし、決定的に違うのはその「構造」と「重量」にあります。
かつてのクラシックで硬い芯地で構築されたカチッとしたスーツではなく、肩線が自然にできるマニカカミーチャみたいな圧倒的に「軽くて柔らかいクラシック」が主流です。






特に、数年間のシングル優勢を経て、2027年春夏は「ダブルブレスト」のジャケットが本格的に増える兆しです。ただし、これには仕立ての条件があります。
・ 避けるべき: 重厚な芯地を使った、四角く硬いクラシックなダブル
・ これからの正解: 極限まで副資材を省いた、カーディガンのように軽い「アンコン仕立て」のダブル
3. 猛暑をエレガントに生き抜く「リネン」のトータル提案
2026年春夏でも強かったリネン(麻)人気ですが、2027年春夏はその勢いがさらに加速しています。ジャケット単品に留まらず、リネンジャケット×リネンシャツ×リネントラウザーズという、全身をリネン系のテクスチャーでまとめるトータル提案が大きく増加しました。
日本の過酷な夏のビジネス・リゾートシーンを考えても、この流れは非常に理にかなっており、当店としても強くお勧めしたいスタイルです。選ぶべき色彩も、自然に溶け込むような美しいアースカラーが中心です。
・エクリュ(生成り)
・サンドベージュ
・セージグリーン
・ライトブラウン






4. パンツシルエットの過渡期:ゆったりから「やや細め」の予兆
パンツは「スキニーの完全復活」ではありません。現在も依然として「1プリーツ」「2プリーツ」の、腰回りにしっかりとしたゆとりを持たせ、裾に向かって自然に美しくテーパードしていくシルエットが中心です。
しかし、高感度なランウェイや一部のハウススタイルでは、わずかに「細身回帰」の兆しが出始めている点も見逃せません。
2027年春夏から2028年春夏にかけて、これまでの「極太トレンド」から「極太 → やや細め」へとエレガントに移行していく予兆を感じさせます。今仕立てるなら、太すぎず細すぎない、普遍的な大人のテーパードが最も賢い選択です。






5. インナーの主役は、Tシャツから「ニットポロ」へ
カジュアル化の波でジャケットのインナーはTシャツが定番化していましたが、今季は明確な変化がありました。完全に「ニットポロ」が主役に躍り出ています。
・スキッパーポロ: ボタンのない開放的な襟元が、大人の色気とリラックス感を演出します。
・半袖ハイゲージニットポロ: 1枚でもジャケットのインナーでも、襟元に極上の上品さをプラスします。






カットソーのTシャツにはない、編み地(ニット)特有のドレープ感と襟の品格が、「エレガントなリラックス」に不可欠なピースとなっています。
6. 足元はスニーカーから「ローファー」への回帰
軽快なスニーカーを合わせるスタイルも定着していますが、今季のPITTIでは明確に「大人っぽさ」への回帰として、革靴を選ぶスタイリングが目立ちました。
・ペニーローファー
・スエードローファー(リネンやアースカラーの服地に最も美しく馴染む質感)
・グルカサンダル(涼しさと上品な仕立てを両立させる夏の定番)






7. カラーパレット:ベースカラーと「現実的な差し色」
全体のベースになるのは、ベージュ、オフホワイト、ブラウン、オリーブといった自然界に存在するアースカラーです。ここに、2027SSらしい鮮やかな「差し色」を投入するのが現地のスタイリングですが、全身を派手にする必要はありません。






当店がお客様にご提案したいのは、「ネッカチーフ」や「インナーのポロシャツ」など、Vゾーンのごく小さな面積で色を効かせる手法です。これなら日本の街並みでも浮くことなく、洗練されたトレンド感を楽しんでいただけます。
・狙うべき差し色: イエロー / ピンク / パープル / コバルトブルー
8. まとめ
2027年春夏のトレンドは、セカンド・セレクシオンにとっても非常に心が躍るものでした。なぜなら、ただ崩すだけのカジュアルではなく、「フィッターの技術があるからこそ生み出せるサイズ感、そして上質の仕立て、素材の軽さとエレガンス」が求められているからです。
アンコン仕立ての美しいダブルブレストや、極上のリネンスーツなど、皆様のライフスタイルに合わせた一着を、今からぜひ一緒に妄想させてください。
皆様のファッションライフを華やかなものになるお手伝いをさせていただきたいと思います。
2nd SELECTION bespoke couture. Master Kazuma Kume
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